V−@ 開業資金の調達について
1.はじめに
ご存知のように、今日の金融情勢は厳しいものがあります。金融機関の経営環境が厳しくなってきたので、軒並み金融機関はその融資に慎重な姿勢をとっています。ただ、融資がまったくダメというわけではありませんが、新規の事業融資にはかなり慎重です。
しかし、適切な事業計画内容を持った新規事業であればその融資には応じています。また、金融機関も各種のものがあるので、すべての金融機関が一律に新規事業融資に応じないというわけではありません。
そこで、ここでは開業資金の調達方法を整理し、できるだけ資金調達を可能にする方法をご提示します。
資金調達の道は厳しいですが、各種あります。要は「開業を成功させるという強い意志」と「粘り」があるかです。その2つがあれば資金調達の道は開かれます。
2.調達方法
(1)家族、知人等
よく利用される資金調達の方法です。長所、短所がありますが、まず第一に検討して よい方法です。
ポイントは、身内であってもあくまでお金の貸し借りという契約関係だという事を基 本認識に置くことです。変に甘えないことです。知人の場合は、当然他人との契約だ と言う事を忘れない事です。
(2)金融機関
@国民生活金融公庫(略して「国金」)
創業資金(事業を興す時に利用できる資金)として不動産担保等の物的担保があれば、担保価値の範囲内で融資が受けられます。融資額の上限は、7,200万円までです。物的担保が無い場合は、一定の条件を備えた保証人がいれば、上限2,000万円までの融資が受けられます。
※現状、多い例は、保証人を利用した融資です。いくつかの融資参考資料(診療圏調査、事業計画書、収入証明書、各種見積もり等)を提出すれば、比較的楽に1,000〜2,000万円の融資を受けられます。(当社は、年間5〜10件の融資実績がありますので、国金からの融資については、その実績により調達を比較的楽に進めています)
A都市銀行(略して都銀)
通常の融資と同じ取り扱いです。しかし、現在の金融不安の状況下で新規開業融資を得ることは、非常に困難です。ですから、都銀からの融資は慎重に判断する必要があります。
B地方銀行(略して地銀)
都市銀行と同じ。ただ、都市銀行より楽な場合があります。注意点が有ります。それは、地銀に関する情報収集を綿密にし、健全な地銀、将来性のある誠実な地銀を見つけることです。それは、その地銀に先生の開業構想を話し、反応を見ることです。そのときの印象をチェックするのです。今後金融機関の選択は自院存続の要になります。したがって単に希望融資額を得れるか否かという観点だけで金融機関を選択しないことです。
C信用金庫、信用組合
地方銀行に同じ。
(3)リース会社、クレジット会社
@リース会社
医療機器や各種設備をリース契約で調達するのは資金調達の一手段です。このリース契約は、資金調達方法としては、比較的楽な方法です。ただ、その利用は、医療機器や各種設備の設置にしか利用できないため。資金調達手段としては限定的です。リース契約は、リース会社によりその契約条件が微妙に違うので、リース会社の契約条件を比較検討する必要があります。
Aクレジット会社
クレジット会社には、種々の融資制度があります。その融資制度の内容をよく吟味して利用するのも1つの方法です。例えばカードローンとかリホームローンなどです。
(4)出 資
開業を最初から医療法人で行う場合に利用できる資金調達の方法です。発起人に出資者を加え、共同で医院、クリニックを事業として行うものです。
(5)投資家等
稀な例ですが、開業資金を投資してくれる個人、法人がいます。開業資金の全部又は一部を投資してくれますが、先生の事業家としての素質を認め、さらに、開業に事業性を認めた場合にのみ投資をしてくれます。
3.調達のポイント
@ 調達は、各種の資料を用意(決意書、事業計画書、診療圏調査書)して交渉すること。
A 資金調達は、先生自身を売込むことなのです。したがって、自分の良い点を遠慮せず主張することです。
B できれば、資金調達になれた人(税理士、中小企業診断士、開業コンサルタント等) と共同して交渉することです。この点を押さえるとうまく行くと思います。 |